微笑みの国よ、ありがとう

 暗い世相の時はひとりでいない方が良い。でも、あまり外出しないようにと言われると手に負えない。だから、出先で行なう仕事が入ると助かる。必要な用事で出かける分には気も楽だ。外注スタッフなので周りの社員と話したりはしないが、活気のある場所にいられるだけでも救われる気がする。

 口を開けば「コロナ」と、クルマの車種でも太陽の外層のことでもなく、新型のウイルスについて話すことになる。でも、会う人間が変わると出る意見も多少は違ってくる。特に、この職場の人たちは、常に話題を各方面から拾っているようだ。酒場で散々聞かされた「言い訳」とはちと違うのだ。

 ちなみに酒場の言い訳とは、このご時世に酒場で飲んでいることに対する開き直りに近い持論だ。誰の持論も支持できない暴論なので、特にここに記すつもりはない。ただ、同じ店に飲みにきている僕が反論もできないので、不本意だけど黙って聞いている。でも、納得はできないので悪酔いする。

 僕としては、自分の仕事との関係性を理解しておきたかったので、業界的な影響があるかを聞いてみた。仕事の量的な部分では減ってきていることはないようだが、枝の部分で作業が滞ることはありそうだという見解だった。そうなったら、僕のようなフリーランスが枝の仕事をすれば良いのだが。

 総じて、職場にいる限りは世間のムードに同調する「自粛」の暗さはなかった。いつもの職場の雰囲気に安心し、ランチで街に出ると妙な寒気を感じた。シンプルに寒かったのだが、家に帰ったら体温を計ろうとは思った。僕もパンデミックに捉われている。でもそれで良い。今は安全側でいよう。

 寒い日のランチは辛いものが良い。トムヤムクンラーメンを食べるためにタイ料理屋に行くと、ソーシャルディスタンスへの配慮と思うが、お客さんをそれぞれ離して座らせていた。僕は大柄なので、この距離の維持は定着してほしい概念だ。あと、従業員がタイ人らしく、その笑顔にも救われた。

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好物のトムヤムラーメンはファーストすすりで必ずむせる。時節柄、要注意だ。