白銀の数え歌

 僕の世代の人間は比較的スキー経験者が多いと思う。スキーよりもスノーボードを選んだ人もいるが、とにかくウインタースポーツのために冬の山に行くレジャーが盛んだった。その移動手段として、四駆やステーションワゴンなどの荷室が大きいクルマの人気が高かった。アウトドア派の時代だ。

 寒い季節になると、なんとなく雪景色が脳裏をよぎるのは、僕も何度かスキー場に行っているからだ。あの染み込むような寒さや、刺すような冷たさの記憶が刻まれている。本当に付き合い程度のスキー経験しかなく、スノーボードに関しては一度しかやったことがない。非アウトドア派だからだ。

 たまに人からスキー経験を聞かれるので、サッと答えられるように回数を数えてみよう。小学生の時に叔父さんに連れて行かれた秋田の雪山が最初で、高校のスキー教室が二度目か。最初がツラかったから好きになれなかったんだよな。たぶん僕の雪景色の寒々としたイメージ映像は秋田の雪山だ。

 嫌な思い出があるとはいえ、周りの仲間が楽しそうにスキーの話をするので「やってみようかな」という気持ちも芽生えはじめる。最初に入った会社のスキー旅行に参加したのは、そんな小さな向上心の表れだ。猪苗代湖のスキー場だったと思う。長野オリンピックが開催されていた時期のことだ。

 別にそのスキー旅行が最悪の思い出だったわけではないのだが、その後すぐに、その会社を辞めてしまった。辞めた後も、その会社の近い世代の人間とは付き合いがあって、何年後かに彼らとスキー旅行に行った。いや、スノーボードだったかな。その旅行が僕の最後のスキー経験なので全4回だ。

 こうやって振り返ってみると、結構楽しんでいたようだ。そりゃ遊びに行っているのだから楽しいに決まっているのだが、どうしても「寒い」というイメージがツラさを呼んでくる。最初の雪山地獄を思い出してしまう。今は膝の靭帯が欠損しているのでやりたくはないが、人には薦めたいと思う。

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学生時代にトンネル調査バイトで行った群馬の山奥。この雪山の記憶も濃い。