信じる者の魂の置き場

 酒場を選ぶポイントは、その店を取り仕切っている人間が信用できるかどうかだ。それが店のオーナーであれ、雇われている責任者や店長であれ、その店の運営を任せられる人材がいるかどうかが大事だ。その判断は客であるコチラがする。当人が「向いてる」と言っても信用できない場合が多い。

 ただ、初見の店ではそういう実態は分からないものだ。肩書きだけで店長を責任者だと捉えることはできるが、意外とバイトの子が陰で仕切っていたりする。その実態が外に漏れないようにできていれば、その店長は有能ということだ。適材適所に人員を配置する人事の才能の持ち主ということだ。

 酒場に限らず、飲食店では余計なことを考えず美味いものをストレスなく食べられることが大事だ。行列店で順番が守られるか心配な店などは、そのストレスで食べ物の味が目減りしてしまう。ただ食べるだけで良いという状況を作らなければいけない。その当然の状況を作れない店が意外と多い。

 僕が長く通っているビアパブというかダイニングバーというか、そんな感じの店があるのだが、そこの店長を僕は信用できる人間だと思っている。最近ちょっと物忘れが多いらしく、ホールを担当する奥さんとの連携で剣呑な雰囲気が漂うようになってきた。でも、店がすいてれば前と変わらない。

 昨夜はその店に顔を出した。やはり安定したポテンシャルの店だと思う。食事も美味いし飲み物の種類も多い。出張帰りの疲れを吐き出すために行ったので、いつもより飲みすぎてしまった。出張中も毎日飲んでいたので、結局連日飲み続けてしまった。太っただろうなと思いつつ、やめられない。

 そこで隣り合わせた客と話していたら、以前も会っていると言われた。そこで僕の名前も呼ばれたので、そこそこ親しく話したのだろう。全然覚えていない。酒場では、酔いの深度によって記憶の階層が違うのだろうか。話したことを覚えていないし、会った人のことも忘れてしまう。困った頭だ。

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規則的な形状のものを見ると安心する。規則性への信用があるからだろうか。