場所取りゲームは不参加で

 酒場にいると、たまに道場破りのような客が現れる。それは、この店の看板を賭けて「カクテル対決をしよう」などという勇ましいものではない。むしろ視線は客に向いており、店主に向かって「常連ヅラした連中が多いと入りにくい」などと言う。その言い草が、まさに常連ヅラだと思うのだが。

 そう言う人は、おそらくその店を気に入っているのだ。そして、常連ヅラとも仲良くなりたいのだ。大声で我が主張を吠えるのも「ここはオレの居場所なんだよ」と認めて欲しいのだ。それはわかる。誰もが最初は店との関係を深めるためにアピールする。そのやり方が強引だと道場破りに見える。

 まあ、店の人にとっては、自分の店を気に入ってくれた人間は歓迎したいところだ。特に酒場は、常連でもつようなところがある。その入り方に個性が出る。大声での主張は、できれば店の人から注意して欲しい。大声で話すとエスカレートするし、他の客の会話も妨げるので空気が悪くなるのだ。

 それでも大声で話したい人の言い分は「常連ヅラが多い時はすべての客がうるせー」ってことだろう。店の人も、さっきまでうるさかった常連を注意しなかったのだから、今うるさいこの客のことは我慢しろと思うのかもしれない。そういえば前に「みなさん大概うるさいですよ」と言っていたな。

 その辺は「知っている人間の声」かどうかという差だろう。知らない人間の大声は喧嘩腰に聞こえるので、誰かとモメないで欲しいなと思ってしまう。その上、もともと店の常連に対して攻撃的な物言いで入っているので、絡まれたくもない。ただ、こちらから絡めば取り込めるのだろうとは思う。

 攻撃をかわすためには仕掛けなければいけない。まだ攻撃すらされていない状態で、ただ何となく嫌な予感だけを抱えているので、自分が「道場破りが来た」と感じたなら動かなければいけない。でも、そういうコミュニケーションが面倒なので関わらない。この逃げ腰体質は改善の必要アリだな。

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その人が自然体か、逃げ腰なのかは、ひと目で分かる。素うどんは自然体だ。