背中生き様人間に敬礼

 先日、同級生との飲み会が終わり、電車で帰ろうとホームに向かうと、さっきまで一緒だった同級生の女性が立っていた。結構酔っているので面倒だと思いつつ、心配な感じでもあったので声をかけた。同じ駅で降りるので、乗り越さないためにも見張っていた方が良いだろう。僕の酔いは覚めた。

 高校3年生の頃は同じクラスだったと思う。その頃の印象というか、僕が女子と話せないタイプだったので、逆にコチラの印象が薄いだろうなと思う。ここ数年の飲み会で何度か話したとは思うが、印象を固定化させるまでの強度のある会話はしていない。そんな感じなので、恐らく信用度は低い。

 制約のない頃なら、駅に着いて「もう一軒いっとく?」くらいは聞いたかもしれない。もうすこし自分を印象付けないと、今後も何度か会う関係性なので余計な気遣いを減らした方がお互いのためだ。でも、すでに僕の行きつけ酒場は閉まっている時間だ。なので、普通にタクシー乗り場で別れた。

 酒場が閉まっていても、帰りしなに顔を見せて「じゃ、また来週」程度のあいさつをしようと遠回りして酒場の前に来たら、完全に閉まっている様子だ。常連の誰かが最後の一杯を啜っていたら軽口を聞くくらいの腹だったので、急いで引き返そうと思った。でも、店主と目が合って気まずかった。

 変な寄り道はしないで真っ直ぐ帰ることにしたら、すこし先の弁当屋から見覚えのある女性が出てきた。さっきタクシー乗り場で別れたばかりの同級生だ。弁当屋から出てくる姿がフラッフラで危なっかしい。もしかしたら見られたくない姿かもしれないが、心配な感じもあるので再び声をかけた。

 タクシーの列を待ってられなくて、歩いて帰ることにしたそうだ。途中までは同じ道なので送ることにした。家までついていく気はない。それはコチラが信用されていないからだ。彼女が「あ、私こっち」と右に曲がったところで別れたが、念のために後ろ姿を確認した。無事を祈りつつ見送った。

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クルマがないと不便な地域に住んでいるのだが、最近歩きに慣れてしまった。