モーニングルートイン

 出張でビジネスホテルに泊まる時は、値段だけで決めている。その日の疲れを屋根のある場所で癒せるなら、他には多くを求めない。できれば近くに繁華街があれば嬉しいが、そうなると飲みに出ちゃうので、ホテル代をケチった意味がなくなる。飲み代を考慮して格安を選んでいる部分もあるが。

 でも都合よく近隣に繁華街がないようなエリアでは、ビジネスホテル自体も競争がないので価格の幅がなくなる。似たような値段で条件も変わらないとなると、他の選択肢は温泉付きとか朝食ビュッフェ付きとかになる。食欲が浅ましい男なので、その場合は朝食ビュッフェ付きを選ぶことが多い。

 僕は朝に強いと思い込んでいた。学生時代の寮生活で早起きには慣れている。部活の朝練に遅刻することなど考えられなかった。それは罰練が怖いということもあるし、その場合の連帯責任で同級生に迷惑をかけたくないという気持ちもある。そんな調教を受けているので、早起きへの過信がある。

 それは、今では完全に揺らいでいる。朝、定時に目覚めることなんてない。たまに早起きの仕事が入ると、気がかりで上手く眠れない。結局寝不足でフラフラしながら行く。そんな僕でも出張先ではひと味違うと思っている。外泊すれば学生時代の気分が戻り、合宿生活のように早起きできるのだ。

 そんな風に人間の体は都合よくできてない。非日常だから多少早くは起きるが、目覚めてまず最初に考えるのは、当日最初の訪問先への到着時間だ。その移動時間を逆算して、朝のスケジュールを立て直す。それによって、朝食ビュッフェは諦めることもある。それは、ギリギリまで寝たいからだ。

 今朝起きたら雨が降っていた。昨日までは必ず朝走ろうと思っていたのに、雨を理由にジョギングは自動的に中止になった。外出の予定があるので起きた方が良いのだが、寝床で本日の訪問先への到着時間を逆算し、何時まで寝られるかを算出した。そして現在、その計算通りの電車に乗っている。

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長野市に出張した時のワンシーン。周りに何もない場所なら日帰りする。