侵食されるキャパシティ

 数年前まではもっと仕事が早かったはずなのだが、遅くなった上に集中力が続かない。フリーランスなので残業なんて概念はないが、スピードを時間で補うことはできる。もともと速くないタイピングだが、根気と要領でなんとか締切を守ってきたのだ。その根気が続かない。根性が摩耗してきた。

 スポーツ系の不祥事がニュースになるたびに悪者扱いされるのが、体育会系に蔓延る「根性論」である。僕は、誰もが忌み嫌う時代の根性論の亡霊のようなコーチに教わった経験があるので、そんなニュースを見ると他人事とは思えない。自分が被害者にも、また加害者にもなった可能性を考える。

 僕があの体育暴力の世界を滞りなく駆け抜けられたのは、ひとえにユーモアのおかげだ。どんなにガサツな人間だらけの荒い世界でも笑いのセンスが合う人間は信用できる。それが同級生にいれば心強いし、先輩にいれば頼りになるし、後輩にいれば希望が持てる。その繋がりだけが唯一の救いだ。

 そうやって、もともと無かった体育会的な根性を思いがけず手に入れた僕は、やはり根性で救われることになる。人生のピンチは根性で乗り切れるし、最後の最後に頑張りのブーストを利かせられるのは根性の下地があるからだ。言葉にすれば、死にものぐるいということだ。それは情熱とも言う。

 仕事のラストスパートで気合いが乗らないというのは、つまり熱が足りないのだ。もっと能動的に奮い立たせないと、せっかくの仕事が減ってしまいかねない。たかが仕事とタカを括っているから、変に大人ぶって冷めてしまうのだろう。中年だろうが老人だろうが、熱くなることがあっても良い。

 ただ、この熱くなりきれない理由の一端には僕の老化もある。いつまでもネットの通信状況を最適化できていないし、仕事の環境整理が滞ったままだ。新しいパソコンも完全にセットアップが完了していない。このセットアップに関しては、いつも「オレの仕事か?」と思ってしまう。思考が古い。

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経年劣化により朽ちる一方の元商店。よく見ると元気ハツラツなあの商品名が。