禁忌のマネートーク

 これから年末にかけて、ほんの少しだけ忙しくなる。忙しさのドサクサに紛れて無茶な仕事を振られる。それはギャラが発生しない仕事だ。昨日からこの問題について考えている。その件について電話で問い質すと「ギャラ要るんですか?」と真顔のトーンで返された。悲しいほどナメられている。

 ギャラが発生しないこの仕事は、果たして本当に仕事なのか。これ単体で考えればただの無料奉仕だ。僕に弱みがあって断れないのであれば、何かしらのハラスメントでもあるだろう。でも、別にその相手との関係性はイーブンだ。何ら弱みも握られていない、ただの仕事の発注元のひとつである。

 それなのに、なぜ報酬のない仕事を頼まれなければいけないのか。断れば良いだけのことなのだが、結局引き受けてしまった。それは、その仕事だけじゃなく他の仕事とも連動しているからだ。損して得取れという言葉があるが、そんなに上手く取れることはない。せいぜい「貸し」を作る程度だ。

 いくら貸しを作っても、それを回収できることは滅多にない。貸しが増えれば記憶に留めるのも困難になる。相手としては「何でも無料でやってくれる」と便利使いするようになる。そんな扱いをされたら僕も不当を訴えて、その相手と決別することになるだろう。そんな不幸連鎖の種の話である。

 確かに、この仕事の部分だけにフォーカスすると不当だと思ってしまう。でも、以前にも似たようなことがあり、その時もギャラについて問い質している。近い関係の仕事先なので、この辺は甘えられていると解釈するべきだと、その時は考え直したはずだ。その時の経験がまったく生きていない。

 気持ちよく仕事をするためには、ギャラの確認が疎かになることがある。それを繰り返して、次第に聞きにくくなるということもある。僕もあまり聞くタイプじゃないのだが、あまりにもその点を無視して話が進んでいると思った時は問い質してしまう。聞いても聞かなくても、わだかまりは残る。

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泊りがけの仕事を頼まれると旅行気分が強まって、ギャラの確認を忘れがち。