気がかり足掛かり

 ここ数ヶ月、ずっとジョギングシューズを探していた。最初のうちは安ければ良いやと思っていたのだが、そのうちオリンピックが始まって、そこでよく目にした国産メーカーが気になりはじめた。何度か店でラインナップを確認すると、僕が良いなぁと思うものはすべて予算内に収まらないのだ。

 まあ、この予算の初期設定が極端に低いというのもある。それでも、数年前まではこの予算設定で買い物を楽しめていた。ところが、今回は国産メーカーに絞って探していたので、そこの価格設定がシビアで僕の予算のところまで落ちてこないのだ。これが3ヶ月ほどの市場調査で分かったことだ。

 他のメーカーのジョギングシューズなら、予算内のものが見つかった。だから、僕のケチケチ予算は普通の買い物でなら通用する。そのせいで、ジョギングシューズを買おうと思っていたのに普段履きのスニーカーをひとつ手に入れてしまった。それは海外メーカーのアウトレット品で、即買した。

 本命がありつつ他にも目移りしての靴探しの日々だったので、かなり欲しい物リストのラインナップが増えてしまった。干し芋のリストではない。僕が探している方じゃない、もうひとつの国産メーカーのスニーカーにも心惹かれてしまった。僕がはじめて親に頼んで買ってもらったスニーカーだ。

 その古いラインの復刻版が出ていたのは知っていたが、実物を見たことがなかった。それを偶然、デパートの専門店の一角で見つけてしまった。コレは欲しい。まったく今は必要ないけれど絶対に買わないと後悔する。そう思いつつ、売り場は分かったので「いつでも買える」とはやる心を鎮めた。

 もう、とにかくジョギングシューズを買ってしまわないことには前に進めない。コレさえ買ってしまえば、他の欲しい物リストにも手がつけられるのだ。そう思って昨日もアウトレットに向かうと、ピンとくる靴を見つけた。予算を多少アップさせたら見える景色が変わった。今日から新しいオレ。

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新しい靴を履いて最初に入った店は家系ラーメン屋。ソールがキュッと鳴く。