夏のジュヴナイル

 学生時代、といってもせいぜい中学生くらいまでだと思うが、夏休みには読書感想文を書かせられた。今の子供は知らないが、僕は何度も書いてきた。作文は得意だったので何ら苦にならない課題だった。ただ、本を読む習慣がなかったので、課題図書を選ぶのが面倒だった。もちろん自腹購入だ。

 最初の頃は母親と書店に行って選んでいたような気がする。でも、いつの間にか買わなくなった。人から借りる時もあれば、図書館で借りる場合もある。でも、イチバン多いのは「読んだふり」だ。立ち読みとか、学校に置いてある課題図書のあらすじをザッと読んで、それっぽく感想を書くのだ。

 担任からは「あらすじだけ読んで感想を書くのはタメにならないし、そういう感想文は読めばわかる」と注意されていた。でも、僕の感想文が注意されることはなかった。それは、僕の文章力がとびきり優れていたということではなく、単に担任が感想文をそんなには読み込んでないということだ。

 考えてみれば当然のことで、いろんな課題がある中で読書感想文をクラスの人数分しっかりチェックするのは容易ではない。他の課題の採点などもあるだろうし、どうしても流し読みになってしまうはずだ。だから、あらすじの言葉を使わずに内容を想像してツラツラと字面を埋めれば平気なのだ。

 そんな課題図書には、今はあまり聞かないジュヴナイル小説が多かったと思う。子供が読む本なので、子供が活躍する物語が好まれたのだろう。もちろん、それを好んだのは読ませる立場の連中なのだが、僕自身も子供なので感情移入しやすい。それに、性的表現がないところも大人が好みそうだ。

 先日、僕のツイッターのタイムラインで印象に残った小説があった。いくつかの書店をフォローしているので、オススメが上がってくる。それは中国の作家による「悪童たち」というジュヴナイル小説だ。店内ポップの画像で猛烈にプッシュしていたので、押しに負けて買った。性的表現は、ある。

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川は少年にとって便所だ、というわけではないが、やむを得ない状況もある。