靴洗い日和に我思ふ
ジョギングで使っているスニーカーが玄関に異臭を放っている。毎日履いてりゃ臭くもなるとは思うが、それにしても臭みが尋常じゃない。なんというか、覚えのない匂いとでもいうか。自分が履いてるのだから、匂いの元に思い当たるフシがあって然るべきだ。でも、まるで記憶にございません。
ただ、匂いのヒントとして草っぽいフレーバーを確認している。この匂いには覚えがある。芝生の匂いだ。芝生のグラウンドで運動すると、スパイクにこの匂いがしみつく。その時は気にならないのだが、放置しておくと次に使う時に熟成された草の匂いが鼻をつく。その匂いに近いかもしれない。
芝生でこのスニーカーを履いた覚えはないが、芝生のグラウンドで運動したのは野球の時だろう。野球の時はスパイクを履くが、行き帰りはクルマなのでスニーカーに履き替える。そこでスパイクからリレーされた芝生臭が、スニーカーへとコピーされたのだろう。それがこの異臭の素地のようだ。
とりあえず、耐えられないほどの異臭を放置することはできないので、ジョギング用のスニーカーを洗った。念入りに洗ったのだが、やはり匂いは消えていない。履くたびに、他の靴や家の別の場所に匂いをリレーしそうで怖い。もう諦めてスニーカーを買い換えようかとも思うが、しばし待とう。
これまでの僕のジョギング用スニーカーのシステムは、普段履きからのレギュラー落ちという不名誉除隊が常だった。直近まで使っていたスニーカーも、そのような経緯でジョギング用に落ちてきた。とても気に入ったスニーカーだったが、最後はボロボロで、これもまたひどい異臭を放っていた。
毎日ジョギングすることで、地面の匂いを拾ってしまうのだろうか。これを機に匂いの元凶である野球用スパイクも洗ったのだが、それほど匂わなかった。いや、多少は臭かったけど、これが匂いのルーツとは思えない。やはり毎日使うことで染み付いた土地の匂いなのだろう。たぶん犬のフンだ。
