逆噴射スターシップ

 最近よく釣りに行く知り合いがいる。居酒屋店主の女性なのだが、その飲食店周りの知り合いに釣り好きが多いらしく、よく誘われるらしい。海釣りのようだ。海釣りはメンツが多い方が楽しい。遠出して乗り合いの船で釣るので、仲間が多い方が楽しいのだ。それと、釣り人は教えるのも好きだ。

 昨夜も、休日に釣った太刀魚のユッケというメニューを出していた。自分で釣った魚を自分の店で出すなんて、ものすごく効率の良い話だ。その上美味い。僕はかねてより、釣ったばかりの魚を「新鮮でプリプリ」と表することに疑問を持っている。いや、表現としては新鮮でプリプリで正しいが。

 釣れたてなのだから新鮮なことは間違いない。それを「プリプリ」という言葉に置き換えて、美味さを表わすことに疑問を感じる。確かに新鮮な魚には強烈な歯ごたえがある。それはシンプルに硬いからだ。釣ったばかりの魚は硬い。プリプリと評している人は、内心「硬い」と思っているはずだ。

 釣ってきた魚はどうしても刺身で食べたくなる。新鮮さをイチバン感じられるように思えるからだ。でも、海なし県の和食屋で刺身を食べても美味いのだ。その魚は決して釣ったばかりではない。漁港から何箇所かの経路を経て運ばれてきたものだ。それでも美味いということが重要だと思うのだ。

 そういえば、漁港の近くで名物っぽい魚料理を食べると、美味いけれど割と値段が高いことがある。産地で食べれば格安という頭があるからかもしれないが、産地に近いから定価で仕入れるということがあるのかもしれない。想像だけれど、地元の同業者だから値切りずらいなどの配慮が働くとか。

 僕も何度か海釣りには行ったことがある。経験を誇れるほどの実績はなく、行くたびに海は怖くなるし、行くたびに酔って吐いている。はっきり言って苦手の部類だろう。クーラーボックスが満たされたことは一度もない。それでも他人の釣り話を聞いていると、多少は釣りに行きたくなるものだ。

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神田川の船宿。そろそろ屋形船で宴会なんぞをしてみたいのだが、酔うかな。