パーマネントホリデー

 高校生の頃は、夏休みの間に髪を染めたりパーマをかけるなどしてイメチェンを図る者が現れる。僕は髪型を気にするタイプではないのだが、中学生くらいから髪に変なクセが出て整わないのが嫌でパーマをかけてみたことがある。いつもの床屋でかけたのだが、理想形もなく頼んだので失敗した。

 僕としては髪型のことなんて気にせず普通でいたいと思って、それならパーマをかけてしまえば「いつでもだいたい同じような感じ」になると思っていた。当然ながらモテたい願望もあるので、できればカッコ良く見える方の髪型で安定していたら嬉しいところだ。でも、ただただ重く仕上がった。

 一応校則でパーマは禁じられていたのだが、どう見てもパーマがキマった感じにはなっていなかったので誰にも見咎められずにいた。ただ、自分としてはこの変に重いアタマを何とかしたい。そこで仲間に聞くと「ストレートパーマ」という便利なモノがあるという。早速親にねだって手に入れた。

 手順に従ってストパーを使ったところ、その直後は物凄い直毛になった。本当に気持ち悪いくらいストレートなので、逆に悪目立ちするような気がする。高校生なので自意識過剰なのだ。誰もそんな小さな変化を見ちゃいないのに、そんな些事に右往左往するのが思春期の少年の日常だったりする。

 結局その時は、ストレートすぎる髪型も気持ちが悪かったので、すぐに散髪したような気がする。いつもの床屋でやると「早いな」と思われそうだったので、いつもは行かない床屋でカットした。パーマとストレートパーマは、無駄な出費に終わった。それ以降はパーマと無縁の人生を生きてきた。

 アラフィフの身の上でイカれたことを言うと、アフロにできなかったことだけが気がかりだったりする。インド旅行から帰ってきたとき、アフロにできそうなくらいまで髪が伸びていた。すぐに床屋に行ったのだが、そこの兄ちゃんに「アフロにできますね」と言われたのがラストチャンスだった。