人間観察禁止の刑に処す

 今年に入ってから行くようになった家系ラーメンの店がある。存在は以前から知ってはいたけれど、そこの前を通ると行列ができているので素通りしてしまっていた。並ぶくらいならすぐ入れる店を選ぶ。でも、行列がなかったら入りたいと思って、毎回そこに行くたびにチェックはしていたのだ。

 ある日、その日はどうしても「家系ラーメンを食べたい」と強い思いを抱いてそこに行った。すると、店前に1人しか並んでなかったので、その後ろに並んだ。たまたま外の様子を見に顔を出した店員さんから「先に食券を買ってからお並びください」と丁寧に指示された。もちろん黙って従った。

 並んだのも一瞬のことで、すぐ店内に通されて、総待ち時間約10分くらいで食べることができた。行列店で嫌なのは、順番が曖昧だったり、店の人がちゃんと案内してくれないことだ。あとから来た団体客に横入りされて嫌な思いをしたことのある人は多いはずだ。そういう懸念のない店だった。

 その日を境に「この店は信用できる」と思い、月に一度、その方面に行くと顔を出している。まだ3回ほどしか行ってないが、シフトに入っている従業員はみんな元気で感じがいい。ただ、直近の訪問時に少しだけ違和感を感じた。店自体へのクレームではなく、中の人の相性の問題だと思われる。

 僕が最初に行った時に感じた案内のスムースさというのは、この店ではしっかり教育されているもののようだ。その案内の確かさで僕も通うようになったのだから、その教育は正解だ。でも、その日は雨が降っていたので、普段のような客の流れにならない。どうしても入り口でモタついてしまう。

 そういう小さなストレスが、古い従業員の方に軽い苛立ちとして存在していたように見られる。もうひとりの従業員はまだ経験が浅いようで、そんな中で軽いミスをして小さく注意されていた。いつもは中の人のテキパキさ加減も見ていて気持ちのいい店だったので、その違和感は残ってしまった。

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細部を見る楽しみは重箱の隅的な嫌味にもなる。木を見て森を見ず、だぜ。