ボートジェッティを探せ

 すでに使い古された感のある、または使いたくない感のある「ステイホーム」という標語。しかし、実際に出かける機会が減ったのも確かで、仕事的にはあまり困ってないのだが、話題づくりという点では厳しいので、このブログのネタも尽きてしまった。そうなると、過去の記憶に頼るしかない。

 いつも学生時代の話で埋めていたのだが、あまり詳細に学生時代のことを語り尽くすのも気持ちが悪い。しかも、僕の偏った(ないし改ざんされた)記憶による思い出なので、都合よく編集されている。その編集方法がまさに自分なのだが、元データと編集された内容の違いは僕にしかわからない。

 今回も過去の記憶を都合よく改ざんしていこうと思う。僕の生きてきた流れの中でイチバン違和感のある思い出、もしくは違和感を演出した思い出なのが「インド旅行」の10週間だ。半年とか1年じゃなく3ヶ月弱という点が弱いが、人生にフックを与えようと無理やり自分の体を動かしてみた。

 そのインド旅行の終着点はカルカッタ(現コルカタ)だった。チェンナイ(旧マドラス)から夜行電車で向かい、着いたのは早朝だったと思う。ハウラー駅というターミナル駅が終点で、そこからカルカッタの市街地までは遠い。バスやタクシーなどを考えたが、渋滞が酷いという前情報があった。

 夜を徹しての電車移動は疲れるので、楽な方法を事前に聞いていた。渋滞するのは、目指すエリアが川向こうにあり、その川を渡る橋に交通量が集中するからだ。でも、川を渡る別の方法としてフェリーがある。駅周辺で制服を着た人にその旨を伝えると「ボートジェッティに行きな」と言われた。

 ボートジェッティという言葉は初めて聞いたが、その時は「船着場って意味かな?」くらいに考えていた。実際すぐに船着場が見えて、看板にも「JETTY」と記されていた。いま調べたら「桟橋」という意味だ。桟橋に横付けされたフェリーで対岸に向かう船内の雰囲気は密入国みたいだった。

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ハウラー駅の外観。遠くに見えているのが渋滞で有名なハウラー橋だろう。