続・旅情は距離がものを言う

 脳内ゴートゥートラベルキャンペーン開催中の僕は、昨日の続きで12年くらい前の浜松まで来ている。そこで、2日後に知り合いと京都で落ち合う予定を作った。記憶が曖昧なので、今後はこのように改ざんしよう。とにかく先の予定が決まったので、もはや浜松でノンビリとはしていられない。

 とりあえず夜のパトロールは欠かせないので、繁華街に飲みに行った。この時期の僕は、地方に行くと薄着のお姉さんが接客してくれる店に行くことが多かったが、この日は居酒屋で留めた。浜松の飲み屋密集エリアには「有楽街」というわかりやすい呼称がある。そこで適当に飲んで宿に帰った。

 でも、記憶の奥に「浜松城」が出てくる。飲んだ帰りか、飲む前にこの城に行ったのは間違いない。行動パターンとしては、飲んだ後っぽい。シラフで城を見る趣味は、その当時の僕にはなかったと思う。酔って旅情に駆られた僕のバグった行動だろう。旅の恥は小さめにかき捨てるタイプなのだ。

 宿に帰って、フロントの人に翌日の予定を相談したところ、夜行列車で名古屋方面に行けるのがあるという。「ムーンライトながら」だ。少し前に青春18きっぷを調べていた時に出て来た、ロングライドのためには必須の電車だ。発車が早朝3時だ。この段階で11時近かったのですぐさま寝た。

 翌朝、といっても寝不足のまま電車に乗るためだけに起きて浜松駅にタクシーで向かった。そんな時間に駅に入ることは、普段だったらありえないことだ。そういう非日常が僕を高揚させるのだ。名古屋から先の予定は何も決めていないのだが、この段階で僕はすでに旅に取り憑かれていたようだ。

 これが不思議なのだが、その電車内での記憶がほぼない。おそらく寝不足の僕は、完全に寝落ちしてしまったのだろう。電車に乗る前のワクワク感をよそに、起きたら5時の名古屋だ。腹は減っていたが名古屋のグルメ事情もわからない僕は、ネットで次の目的地を探す。そして伊勢神宮を目指す。

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ライトアップされた夜の浜松城。不審者扱いされそうなので、すぐに帰った。