覚えていないのは当たり前

 飲みすぎた日は、いろんなことを忘れてしまう。昨夜は久しぶりに行きつけの酒場を全て巡った。最後に行った店では、例によって一杯しか飲めなかった。そこで金を払った記憶がないのも、いつものこと。そのあとでどうしても空腹が我慢できずに、チェーンの牛丼屋に寄るのも、いつものこと。

 牛丼屋では、いつも牛焼肉定食を頼んでしまう。学生時代にお気に入りだったメニューだが、最近では食べ終わった後に脂っこさで胸焼けするので避けていたものだ。昨日も、食べる前にそれを思い出したのだが、換気扇から匂いを放出しているので食べたくなってしまった。悲しきパブロフの犬

 そこで食べ終わった後は、セルフサービスで下膳しなければいけない。それがマナーだ。僕はマナーを守りたい男だ。この下膳の記憶もなくなっている。席に食器を置いたまま帰って来てしまったのだろうか。しばらく考えてみたが、考えたところで答えは出ない。覚えていないのだから仕方ない。

 その後はタクシーで帰って来た。久しぶりにタクシーに乗ったのは、それだけ酔っていたからだろう。歩くのがダルいからだ。タクシーの車内では、行き先を伝えた後はメーターを凝視するのがイヤな癖だ。初乗りが500円になり、その後100円ずつ上がるメーターの距離感覚を覚えたいのだ。

 タクシー代は、以前よりも深夜料金で100円高くなっていた。でも、前に乗った時も同じ値段だったのでコレが新価格なのだろう。家に帰って来てから、買って来た本をバックから出してどこかに置いた記憶がある。でも、朝起きてトイレで本を読もうと思って探したが、全然見つからなかった。

 どこに置いたのかさっぱり見当がつかない。その後で二度寝しようと思ってベッドに腰掛けたら、毛布に本がくるまっていた。読もうとして寝落ちしたのだろうか。その時にふと、あるシーンが蘇って来た。牛丼屋の従業員が僕の食器を下げるシーンだ。なるほど、下げ忘れたわけじゃないようだ。

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地元で飲めるようになったのは嬉しいが、県またぎでの旅情も欲している。