生活が情熱の邪魔をする

 先日も触れたことだが、現在の僕は週に1度程度の歯医者通いで煩わしい日々を過ごしている。こちらにも日常のペースがあるのだが、歯医者の予定というのは遠慮会釈なしに人様のスケジュールを埋める。基本的に在宅仕事が多い僕は、時間の融通が利いてしまうので今朝も10時から歯医者だ。

 普段はジョギングをしている時間なので、今朝は時間を前倒しにして走ろうと思ったのだが、足の甲に謎の痛みを発症したので控えた。これは痛風発作に似ていると思いつつ、現実逃避の案として「走りすぎによる炎症」などと勝手に自己評価して安静を決め込んだ。走らない分だけすこし太った。

 このように歯医者というのは日常の細部を乱す。歯のトラブルに関しては自己管理なので、その責を負うのは僕だ。生活のリズムを崩した原因は自分にある。分かっちゃいるけれど、歯医者の存在の厄介さは何年経っても変わらない。もうすこしカジュアルというか、ポップな存在になってほしい。

 子供の頃から虫歯だらけで、しょっちゅう歯医者に通っていた。中学時代は厳しめの陸上部に入っていたのだが、ある日、部活の顧問が激昂して罰練を課している最中に「歯医者なので」とバックれたことがある。罰練も理不尽だが、それを途中で離脱するほどの価値が歯医者にあるとは思えない。

 その罰練は、200メートルダッシュを延々に繰り返すというものだった。記憶が曖昧なので盛っているかもしれないが、確か25本くらいまでは走ったと思う。距離にして5キロか。大したことないし、僕としてもやり遂げたい罰練ではあったのだ。後で仲間に聞くと、結局50本走ったそうだ。

 僕が罰練を途中で抜けるときに思ったのは、顧問に歯医者に行くと告げた段階で「そうか、じゃラスト1本」の声がかかるんじゃないかとの期待だ。または「ダメだ」と断られることも想定していた。僕だけ抜けるという発想はなかった。本心としては僕だってみんなと最後まで走りたかったのだ。

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あの頃の教員は、部活の途中でケガして病院に行くと本当に嫌な顔をする。