デンタルはメンタルを壊す

 むかしから歯医者は苦手だが、年齢を重ねるとともに恐怖に近い感覚が芽生えつつある。いつも、その恐怖にとらわれないように気持ちを強く持って向かわなければいけない。構えているので気がビンビンに立っている。殺気と言っても良い。もし僕に何かあったら「承知しないぞ」という姿勢だ。

 そのせいで些細な言動に腹が立ったりするが、今日久しぶりに歯医者に行った際には心の中で「穏やかでいよう」と念じることができた。それでも恐怖はやって来る。この恐怖は息苦しさだ。口の中に器具を入れられた瞬間に呼吸ができなくなる。そんな恐怖に襲われるのを見て見ぬフリしている。

 すこし話は逸れるが、歯科医院のことを歯医者と呼ぶのをやめられない。歯医者というのは歯科医院の医院長やスタッフであり、僕が通っているのは歯医者ではなく医院の方だ。それでも歯医者と呼ばないとピンと来ないのは、小さい頃から親に「歯医者さんに行きなさい」と言われてきたからだ。

 数ヶ月前から奥歯に違和感があり、歯ぐきの腫れもひかないので行きつけの歯医者に電話した。いつもは数日先の予約しか入らないのだが、珍しく今日の12時半が空いていると即日の予約が取れた。善は急げと、いや歯ぐきが腫れるのは善でもなんでもないのだが、とにかく即日対応はうれしい。

 歯医者で納得できないことの上位にあるのが、通院中の予定がすべて歯医者都合に合わせなければいけない点だ。自分の都合を言うと、1週間以上先の予約になる。そして、僕は自分の都合も言うので毎回長引く。今回の治療計画も、ザッと聞く限り長くなりそうだ。自業自得だけどウンザリする。

 次に歯医者に行くのは来週の金曜日なので、10日後だ。今日は歯のチェックだけで終わったので、なんら治療はされていない。この治療が終わる頃には夏が終わってしまうかもしれないと思いつつ、酒場にもいけないクソつまらない夏ならさっさと終わって構わないとも思った。やさぐれている。

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見上げる視点は歯医者のイス。すべて彼らに委ねなければいけない。恐怖だ。