思考のタネを植えてくれ

 僕は仕事を断りたくない。人から頼まれたら引き受けたいし、引き受けたらちゃんと終わらせたい。できれば早く終わらせたい。別に早く終わらせることで別の仕事にすぐ移れるからということだけではない。頼んだ仕事が早く終わったほうが、頼んだ人も嬉しいだろうと勝手に思っているからだ。

 断らないけれど、割と無茶というか、自分にできないことを頼まれることがある。その際には「それは誰々に頼んだほうが良いと思う」と伝える。そう伝えても結局コチラに戻って来ることが多い。それは僕の人間的魅力ということではなくて、単純に頼みやすいということだけだと思う。安いし。

 無理を押し通されて不快かと言うと、むしろ新しい仕事をできる嬉しさのほうが大きい。新しいということは大変なこともあるのだが、この歳になって勉強できる新しい素材があることのほうが貴重だ。ただ、そういう仕事だからと言って無制限に時間があるわけではないく、締め切りはあるのだ。

 そんなタイミングの悪さで不愉快になることは多々ある。新規の案件は、考えて勉強しながらじっくり取り組みたいのに、その猶予はないのだ。間に合わない場合は早めに断るようにしている。本当は断りたくないのだが、できないことを引き受けても迷惑をかけるだけだ。判断は早いほうが良い。

 いまも新しく頼まれた仕事が、頭の片隅でアイデアを熟成させている。まだ芽は出ていないし、どこに着地するのかも皆目検討もつかない状態だが、思考が頭の中で自動計算しているような時間は好きだ。そのうち具体化してくれる場合もあれば、外からの刺激でパッと名案が思い浮かぶ時もある。

 常に頭の中にタネを植えておくのが大事で、そのタネは仕事に限らず、自分の日常を便利にするアイデアでも構わない。何かを気にしておくことで、その対象への意識が変わり、新しいアプローチが湧いて出たりする。季節が暖かくなって来ると、我ながら安易にポジティブになるものだなと思う。

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建設中の足場のようなものを想定して、頭の中をリフォーム工事したい。