ヘルスジャスティスへの道

 健康かどうかは、個人の見解に過ぎない。当人が十分と思える健康体であれば、他人がとやかく言うことでもない。市の要請で来る保健指導は、医療費の削減のために健康になるよう指導しているのだ。それは個人の都合ではなく公の都合だ。それに従うかどうかはこちらの自由だ。僕は従ったが。

 太って見える人が、血液などの数値が全て基準内ということはよくある。人を見た目で判断するヤツはダサいという考え方が世の中に浸透しているように見えて、実は全然浸透していない。だから、当人は健康なのに他人が干渉してくる。腹が出たとか顔が丸くなったなどと内政干渉してくるのだ。

 そういう個人が個人に対して行う干渉に関しては、「個体差があるんだから一概に自分の価値基準で決めつけるなよ」と諭すことにしている。でも、仮に僕が今回の保健指導の結果、理想的な健康体を手に入れたらどうなるだろう。僕も健康至上主義者として他人に干渉してしまうような気がする。

 すでにその兆候が表れていると思われるのが、TVでラーメンやチャーハンなどのハイカロリーなものが出た時に「しばらくはガマン」と思ってしまうことだ。ドラマで中華屋のシーンを観ると、今は行けないと思ってしまうのだ。行っても良いのに、脂っこい食べ物に対して罪悪感を感じている。

 こういう思考になると続かないと思うのだが、スタートダッシュで数字を稼ぎたいと思っているから〈今は〉ガマンしたいのである。要は、早く楽になりたいのだ。僕の基本精神は「食べるために生まれてきた」ということであり、大好物は〈ラーメン、とんかつ、中華料理〉に決まっているのだ。

 ただ、減量期間を過ごした後で、食事が数値に反映されることが身に付いてしまうと思考も変わってきそうだ。そのうち中年がよく言う〈健康のためなら死ねる〉というクリシェを使いそうだ。さらに、もっとも注意しなければいけないのは、自分を成功例のようにして他人を諭そうとすることだ。

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保健指導2日目にして禁断症状が出ているらしく、ラーメンを見たくない。