博才もたざる者

 昨日は酒場のバイト女子が誕生日ということで、時節柄おおっぴらとは言えないけれど、小規模の常連客でささやかにお祝いさせてもらった。数少ないイベントとして「ワニワニパニック(1回百円)」で彼女と勝負して、勝ったらビールを1杯飲めるというのがあり、千円ほど突っ込んだのだが。

 むかしから運任せの勝負事には弱いタイプで、そのゲームの傾向が読めてしまうと逆に行きたくなるというクセがある。ヤバイと思うところから潰したくなるので、かなり初手で外すことになる。いや、ワニワニの場合は1箇所だけが当たりなので逆に当てているのだが、それはつまり負けである。

 無欲な方が勝負運に左右されずに幸運を引き当てられるようなことを言う人がいる。僕もそんな気がしているのだが、他人に関しては当てはまるその仮説が僕の場合は適応されない。無欲というより消極的、どちらかと言うとイヤイヤ巻き込まれるので、そのマイナス思考のまま負けることが多い。

 例えば「ここの会計を賭けてジャンケンしよう」なんて言われると、絶対に負けると思う。僕は堂々と「自分の分は自分で払おう」と言って逃れようとするのだが、その場が全員なぜか乗り気になっていたりすると巻き込まれる。巻き込まれた人間と巻き込んだ側は敵対するので、つまり全員敵だ。

 その状況で、でも確率は人数分の1なわけだから全員が等しくリスクを負っている。僕が払わない可能性もある。そんな「絶対に払いたくない無駄な出費」を賭けた場面で僕の博才は逆方向に発揮される。まるでノリが悪かった罰ゲームかのように負ける。そんな負け方では誰からも同情されない。

 昨日のワニワニに関しては、いつもより安くビールが飲めるという下心があるので、無欲ではない。千円で2回勝ったから1杯あたり五百円換算となる。そのビールの通常時の定価だ。つまり、単に定価でビールを2杯飲んだに過ぎないのでトントンだ。つまり負けてないのだ、という負け惜しみ。

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近所の公園にあった難読看板。こういう極小のオモシロ発見に幸運を感じる。