ペンディングの魔術師

 僕はせっかちなのだが、せっかちが先回りしすぎて遅く見えるようだ。すぐやればいいことを放置しているので、ダラダラ時間稼ぎをしていると思われたりする。でも、それは「やること」の材料が揃っていないからだ。それを感知するのが早いので、誰よりも早く保留の判断を下してしまうのだ。

 学校に通っている頃から「結局そうなった」ということは多い。僕が想定した通りのスケジュールで物事は進む。その間にできることを途中でやっているのだが、今やっていることと少し違うので周りは良い目で見ない。足並み揃えて一緒にというのが、僕らが学生時代に習った唯一の方法だから。

 当たり前のように分業にしようと提案しても、謎の「みんなで一緒にやることに意味がある」などと横並びの発想で言われることもある。それは教師に都合のいい生徒の理想形であって、人間の理想形ではない。そんなことを言葉にできずに、結局無意味な「みんな一緒」を受け入れていたと思う。

 学生時代の懐かしい恨みはひとまず置いて、せっかちすぎて保留してしまうという話。判断が早いので諦めが早いと思われることもあるのだが、その諦めは「仕切り直し」と自分では捉えている。全人類と同様に負けず嫌いなので、諦めたり挫けたりするのはイヤだ。だから準備し直すだけなのだ。

 社会人になって、先輩のラグビークラブに人数合わせで呼ばれたことがあった。僕を呼ぶくらいだからメンバーが足りていないのだが、ギリギリまで人数が揃うか怪しかったので、先輩が「気持ちが作れないと危ないから早めに判断した方がいい」とチームリーダーに言っていたのが印象的だった。

 やるかやらないか分からない状態で試合に臨むと怪我の元なので、早く決めてくれということだ。負けず嫌いで有名だった先輩の言葉だったので意外な気がした。でも、鮮やかだなとも思った。判断力というものは人を魅了する要素でもあるのだ。せっかちな僕にもその素養があるような気がする。

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せっかちなので早食いだ。早く食べることでカロリー消費が促進される。