隣のクラスに宇宙人

 人は見かけによらないと思うこともあれば、見た目でなんとなく分かることもある。僕は人を見る目がないので、自分の第一印象を信じないことにしている。それでも第一印象には引っ張られるので、印象を固定させないようにしている。特に「なんか嫌かも」と思った時はピントをズラして見る。

 逆に最初っから話が合うとか、面白くて好きになるような人の場合は警戒してしまう。警戒というよりも、悪いところを探しておいて後からそれに気がついても「知ってた」ことだからダメージは軽減できるのだ。無駄なことのようだが、実際に日常の平和はこんな些細なところから崩れたりする。

 僕が人に対して先入観を持たないようにしたいと思ったキッカケがある。中学生の頃だが、それまでの僕はクラスで一番面白いヤツと仲良くなりたいタイプだった。小学校までは「面白いヤツ=目立つヤツ」で、そいつと一緒にいれば面白いことが勝手に巻き起こった。ただ、全然モテなかったが。

 みんな人前では硬派を気取るのだ。小学生が硬派ってなんだよ? と思うかもしれないが、僕の地域の同学年の主流だったと思う。少年野球でなんとなくスポ根っぽい考えに染まっていたのか、基本的には男子としか遊ばなかった。そのせいで中学生以降、長いこと女子と話せなくなってしまった。

 とにかく、それまでは目立つヤツが面白いということにして、そいつに放課後の遊びを全部任せていた。でも、目立つヤツが必ずしも面白いわけじゃないことには薄々感づいてはいた。それでも小学生は優しい。それぞれの役割として割り切っていた部分もある。それが、中学校では通じないのだ。

 そこで僕は「もう本当に面白いと思うヤツとだけ付き合う」と改めた。面白いヤツ探しをするからには、自分も技を磨かなければいけない。アンテナを張らなければいけない。そうすると、受信できるようになる。面白いヤツは気配を出してくる。そんな逸材の発見が僕の学生時代の楽しみだった。

f:id:SUZICOM:20201203110444j:plain

人のオモシロを探すというのは自分探しでもある。ああ、旅に出たいぜ。