ほんの少しのスコセッシ

 僕は映画通でもなんでもないのだが、最初に入った会社を早々に退社してしばらくヒマだったので、ビッグネームの監督作を片っ端から観た時期があった。もちろんビデオだ。当時はビデオとDVDの過渡期だったが、まだ作品点数が揃ってなかったのでレンタル市場ではビデオが主流だったのだ。

 ずっと体育会系の学生に擬態して過ごしてきた僕だが、脳内では文系的な要素も拮抗してあったので、その辺の趣味が爆発したのかもしれない。とはいえ根っからコレクター気質がないので、集める、揃えるという感覚が希薄だ。だから知識を蓄えようとも思わないので、必然的に広く浅くになる。

 それまでの僕の中で最高の映画といったら「パルプフィクション」だったので、そこから掘り返してみた。タランティーノ作品は面白いけれど、本数が少なかったので、そこから関連性でロバート・ロドリゲスに行く。「デスペラード」は、アントニオ・バンデラスの主演作では最高傑作だと思う。

 その「デスペラード」だが、この作品では音楽がキモになっている。そもそも主役がマリアッチの役なので、常にギターを持って歩いている。先のタランティーノ作品でも音楽は重要な要素だ。いや、要素として大事ということではなく監督本人の音楽愛が溢れているのかもしれない。知らんけど。

 レンタルビデオ屋に行くと、僕が手に取る映画の棚が自然に次に観るべき作品を主張してくる。ポップなどで「○○関連作品」と誘導している。初心者はプロに委ねよう。そんな気分で、返しては借りるの繰り返しだった。そうやって本数を重ねた結果、僕が辿り着いたのはウディ・アレンだった。

 好きな映画はたくさんあるけれど、ウディ・アレン監督作では何かをひとつと選べない。たぶん最新作が一番面白いと思うんだろうけれど、いつ観ても何が面白いとは具体的に言えない。ただ、なんとなく映画通を気取ったような選択という気もしないでもないので、あまり大きな声では言わない。

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映画館は狭いので、家でしょーもないカレーでも食べながら観るのが良い。