揉んで揉んで、白紙に戻す

 色塗りをすると、だんだん色を混ぜたくなって、最後には黒に近い謎の色彩を生み出すことになる。全部の色を混ぜると黒くなるのだが、それでも子供は混ぜないではいられない。あのがっかりする色彩を見たいのではなく、混ぜている途中の「ウルトラQ」のオープニング的な色彩が楽しいのだ。

 人と意見をすり合わせていても、似たような現象が起こる。ウルトラQ的な色彩にはならないが、収拾がつかなくて白紙に戻すということがある。何度か経験があるので分かるのだが、双方の理解力の差が逆方向に伸びてしまうと起こる現象だ。そんな怪現象が目の前で起こっていて、困っている。

 仕事にかける時間が短いほど利益率が高い。時間をかけることは「悪」だと言ってもいい。その悪のループから抜けられない。いったん冷やそうと思って酒場で脳みそを溶かしていたら、携帯電話というのはどこまでも追いかけてくる。仕事の電話が入り、懸案の案件について先方から提案された。

 これまで積み上げてきた「案」を否定するでもなく、でも、ほぼ却下された感じで「こうしてくれませんか」と頼まれた。酒の酔いではなく、こういう時は頭がクラクラする。ビルトアンドデストロイ。創作の始まりは破壊だ。大いに壊してくれ。でも作るのは僕。この工作はシビアな戦いになる。

 本当は居ても立っても居られない気持ちだったが、かと言って煮詰まった仕事をリセットしに飲みにきているのだ。いま仕事に戻っても同じように煮詰まる。提案されたことを消化するのに時間も欲しい。今日は寝かせよう。明日に先延ばせ。普段はあまり逃げないのだが、今回は逃げてばかりだ。

 大体の軋轢は自分を捨てると回避できる。でも、当人にとっては「自分を捨てたら終わり」なので、最後までそこと戦う。でも結局、いつも自分は捨てているのだ。だったら最初から捨てればいい。そうは思っても、今回は通用するかもと思って自分を提示してみる。そして却下されるの繰り返し。

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頭の中がとっ散らかって先が見えない。可視化するとこんな感じだ。