君はテキストオンリー

 友達との連絡に電話を使わなくなって久しい。仕事では電話連絡は必須だと思っているが、仲間うちで電話することは滅多にない。僕も、電話するのは気が引ける。本当なら仕事もすべてメールで済ませたい。電話で頼まれる仕事はたいてい厄介だ。メールなら、厄介でも声に感情が出ないで済む。

 思い返せば、むかしから長電話は苦手だった。根がケチだから通話料金が気になるし、垂れ流すような無駄話ができないタチなのだ。その能力は「雑談力」というか、社会人になると意外にも大事なコミュニケーション能力のひとつだったりする。言葉数でその場を占拠する程度の能力ではあるが。

 人間の連絡方法としては、電話よりもメールの方が歴史が長い。メールは、言い換えれば手紙だ。文字で伝えるというのは、割と古い手法だと思う。それを送る通信方法が新しいだけで、やり方は何世紀も変わっていない。そう考えると、ラインで辞表を出す新入社員にも一理あるような気がする。

 メールでもどかしいのは、話が一向に進まないときである。結論を言ったつもりでも、断定口調だと高圧的に感じそうだなと配慮して柔らかく伝えてしまう。その柔らかさが曖昧表現になってしまい、先方には結論として伝わらないのだ。これは、仕事以外のごく私的な連絡で起こりがちな現象だ。

 相手がかなり年下の異性だったりすると、もう壊滅的にコミュニケーションが成り立たない。うわべの話なら成り立つが、何かを決めようという算段になるとまるで機能しない。例えば「食事に行こう」と連絡しても日程が決まらないのだ。これは、暗にこちらが避けられているだけとも言えるが。

 メールの有無や返信のレスポンス速度で一喜一憂するタイプではない。年齢的なものもあるが、相手の反応に対する監視を始めると疑心暗鬼に取り憑かれることを経験上知っているからだ。自分がそうなったこともあるし、他人が憑かれているのを見たこともある。たかがメール、それでいいのだ。

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最近あまり見ない電話ボックス。最後に使ったのはいつだろう。