ナイトコールは不吉な予感

 今ではなかった頃を思い出すのも困難なほど、生活に深く浸透している携帯電話。いや、スマホになってからは携帯電話としても使っていない。持ち歩けるPCとして頼ってしまっている。時間は不可逆なものなので、スマホがこれから不便になることはないだろう。あと考えられるのは小型化か?

 そんなご時世だもんで、たまに電話が来ると「何事じゃ?」と身構えてしまう。良い報せを真っ先に伝えたいと、逸る心を抑えきれずに電話して来るようなドキドキする相手はいない。家族とは同居しているし、トツギーノした妹が電話して来たことなんて数回しかない。すべて母親への伝言だが。

 電話での知らせは、昼時なら仕事の連絡で、非常識な時間の場合は仕事でのトラブルだ。それは重々承知しているのがだ、昨夜、夜中の12時過ぎに仕事関係の人間から電話が入った時には無視した。無視しても、至急の要件ならショートメールか何かでトラブルの概要を伝えて来る。寝て待とう。

 しかし、無視を決め込んだものの心の片隅では引っかかる。このまま眠れそうにないなぁ、なんて思っているうちに眠りに落ちた。起きて、しばらくして思い出したので電話してみた。最初の声でわかるのだが、トラブルは解決した模様だ。よくよく聞けば、トラブルでもなんでもない質問だった。

 自分としてはトラブルを想定していたので、初歩的なソフトの使い方の質問が帰ってきて拍子抜けしてしまった。そんなことを真夜中に、しかも実家暮しの中年男に聞くかね。そうは思いつつ、この男の非常識は筋金入りだ。だから何の躊躇いもなく無視できた。ここはガツンと言いたいところだ。

 でも、夜中のうちにトラブルを想定して何度も内心で毒を吐き、出尽くしてしまったらしく、朝から怒る気にもなれなかった。文字通り「毒気を抜かれた」状態になってしまったのだが、トラブルでひと悶着するよりは全然マシだ。今日は朝から調子がいいぞ。そんな風に思えたのでヨシとするか。

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眠る前にかかってきた電話を無視すると体力を使うらしく、今とても空腹だ。