アンチェイン昼飯しばり

 僕は外出先での食事にこだわる。本当は、何もこだわらない気さくな人間でありたいと切望しているのだが、こだわらずにはいられない理由がある。僕のこだわりとは「チェーン店以外」ということだ。別にチェーン店がダメだと言っているわけではない。ただ、僕個人とは相性が悪いというだけ。

 僕がチェーンの飲食店に行って愉快な思いをすることは、ほぼない。たまに知り合い数人とチェーンの居酒屋に行って「意外にうまい」とか「この安さは見逃せない」と思うことはある。でも、それは連れがいるからだ。僕はひとりで飲みに行きたいし、そうなるとチェーンの居酒屋は違ってくる。

 僕の住んでいる家の近くには、世界的に有名なハンバーガーのチェーン店と牛丼のチェーン店がある。歩いて5分以内だ。だから、よく行く。近所での飯にはこだわらないのだ。それでも、そのチェーン店でゴキゲンなひとときを過ごしているわけではない。ただ「早い」という時間的都合である。

 それらのチェーン店で受ける印象は、地元なら許せるけれど出先で受けたくない不快感なのだ。外出先での食事は栄養補給とレクリエーションを兼ねている。僕は家で仕事することが多いので、出かけることは千載一遇のチャンスでもあるのだ。だからこそ、そのワンチャンスにかける思いは強い。

 なぜ僕がチェーン店で不愉快を感じるかというと、それはマニュアルが徹底しているはずの企業への期待の裏返しでもあるのだ。チェーン店の接客に期待するなと言われるかもしれないが、その店というよりも看板に期待しているのだ。だから、初手からハードルは高い。そうなると落差も大きい。

 僕はオフピークランチを心がけているので、13時半までは我慢して食べない。それ以降の、昼休憩に入る手前までの時間で食べに行くので、エリアによっては行きたい店がすべて閉まっている。空腹には勝てないので仕方なくチェーン店に入る。最初から落ちた気持ちで選んでいるので分が悪い。

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地方で見かけた絶対にチェーン店ではない店の看板。営業はしていなかった。