こんなオトナに誰がした

 今月の仕事がひと段落したので、酒場で1人打ち上げをしていた。1人と言っても常連が集まる店なので、話し相手はたくさんいる。その中の、僕と大して歳の変わらない男と話していると、不意に不快な差別表現で例え話をした。公共の場での配慮がない、民度の低い表現だが最初はスルーした。

 差別表現のすべてを見咎めて怒る気持ちはないが、その例えを使う必要がないのに「強く言いたい」ためだけに使われると気分が悪い。そのわだかまりを抱えていたのだろう、その後も同様の表現を繰り返すので、思わず注意してしまった。この手のデリケートな話題を長引かせたくはないのだが。

 彼の話の腰を折って注意したので、最初は不快感を露わにしてきた。その後も不本意極まりないという様子で、いろいろと反論してくる。その反論の中には「俺はボランティアにも行っているので言われたくない」という意味不明の主張があった。論旨とズレるのだが、そこも一応注意しておいた。

 ボランティアに行くような積極的な優しさを持ち合わせているのなら、わざわざ差別表現で人を不快な気持ちにさせることに申し訳なさを感じることもできるだろう。だから、こちらの言うことも理解できるよね。そう念を押したところで話を通常に戻した。あまり追い詰めても良くないだろうし。

 その後の彼の態度は一変したわけではないが、僕との会話はやめにして他の客と談笑しだしたので、冷却期間を置きたかったのだろう。僕としても「正論を言いすぎたな」と反省する余地はあるのだが、あの場合は柔らかい表現で注意しても絶対に聞かないし、そもそも僕の意思が通じないだろう。

 僕の前で2度と言ってほしくない言い草だったので、そこを染み込ませるためにジックリと攻めた。当人の人格批判になるとさらにモメるので、その表現は良くないという1点だけに絞ってコンコンと説き伏せた。時間にして5分くらいのことだと思うが、僕にとっても嫌な時間なので長く感じた。

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大事な酒場で説教をするなんて野暮極まりない。白くま食べて切り替えよう。