ラブのテクニックを競う

 昨今の恋愛は、マッチングアプリで会ったりするのが割とスタンダードなんだということをよく聞く。怖がるようなものでも、ましてセクシュアルなものでもないと人は言う。確かに僕も、その手のアプリが展開する広告イメージを見て「出会い系サイト」のような印象を持ってしまっていたのだ。

 とはいえ、出会いの手段としてスタンダードだからと言われても、自分がすぐにそのアプリを導入するとは思えない。僕も独身男なりに思うところはあるが、結局その手のツールを使いこなせるのはマメな男(または女)なのだ。僕に最も欠けているマメさ。それは恋愛に対する情熱の問題なのか?

 熱くならなければスマートでいられる。でも、熱くなったが最後、熱烈にアプローチするしか脳がなくなる。僕の中で恋愛に情熱的な人間のイメージはそんな感じだ。だから必ず玉砕する。玉砕したくて燃えているようにも見える愚直な壊れ屋だ。自分から恋に落ちて、自分の意思で破滅に向かう。

 僕も恋愛に器用なタイプではないので、没入したら情熱的に玉砕したくなるかもしれない。でも、年齢的な問題もあるのかもしれないが、僕にとって情熱の季節は過ぎたと思う。恋に熱くなり過ぎて相手のことを見ず、自分だけ燃え盛ってしまったこともある。そして、それが正解だとは思わない。

 熱い恋というのは自己満足だ。お互いの意思を確認して、それではお付き合いしましょうという段階まで行って、初めて情熱を発散し合えばいいのだ。そんな関係になりたくて「アイアム情熱」的に激しく自分を押し出すのはお門違いだ。順番を間違えているのだが、それが見えなくなってしまう。

 あと、このパターンを繰り返す男の習性としては「成功体験」があるんだと思うのだ。激アピールによって上手くいってしまった過去があり、その手法でしか異性にアプローチできない。でも、その情熱は手法でしかなくて、本人の本質は付き合ったら落ち着くのだ。だから、結局上手くいかない。

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特定の第三者をイメージして勝手に恋愛指南、というか悪口を展開する晩秋。