そんなワーキングピュア

 土日に働くのはフリーランスの宿命。休みなく働いてやっと人並み、という僕にとっては仕事があるのは喜ばしいことだ。でも、僕の中身はフリーランスとして生まれてきたわけではないので、作業中は文句タラタラだ。PCが固まるたびに呪いの言葉を投げかけ、進まない作業に怒りを募らせる。

 すべては低いスペックのマシンで高度なアプリを使っている僕の責任だ。でも、作業をするのも僕なので、僕に文句を言うわけにはいかない。僕には僕の都合があり、その都合は僕の中身も共有している。だから、すべての理不尽な怒りはPCに向けられる。ただ、壊れたら終わるので言葉責めだ。

 家の作業部屋で、天気のいい日曜日の昼間だというのにブツブツPCに向かって呟いている不気味な男。それが僕だ。誰かに気持ち悪いと言われようが、今やっておけば週明けがラクなのだ。ここはキモい中年男に徹して完遂しなければいけない。早く終われば、近所のイベントに顔を出せるかも。

 そのイベントは、いくつかの街のパン屋さんが出店して、それに合わせてワインを飲めるというものだ。よく行く居酒屋の店員さんが、酒担当をしているはずだ。行けば楽しく飲めるだろう。天気も良いし、かなり気持ち良さそうではないか。そんなことを考えて、作業のイライラを散らしている。

 一度そんな楽しい想像をしてしまうと、もはやそれが目的になってしまう。でも、その時点での進捗状況を見ると何とも言えない。今日はある程度目処が立つまで終わらせるにしても、その目処が立つところまでは程遠い。そこでワインとパンは諦めたが、その分の怒りの呪詛をPCに喰らわせた。

 結局、日曜日中にほとんど片付いてしまったのだが、全部やり通すのがシャクなのでちょい残しでPCを閉じた。今朝、起き抜けに残りを片付けようと思ったら、立ち上げた直後のPCは反応が遅い。調子が出るまで待っていたら、結局今日も出勤時間のギリギリまでかかってしまった。いまここ。

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この橋を渡った先が仕事場。この川は神田川。お気に入りの風情シティ。