スペンサー・セッド

 プロ野球の試合が終わると、勝利チームに対してヒーローインタビューが行われる。その試合の中で、もっとも活躍した選手を評してのものだ。ホームチームが勝利した場合は2人選ばれる。昨日の横浜スタジアムでの試合では投手が2人選ばれた。つまり横浜ベイスターズが勝ったということだ。

 まずは先発の大貫投手が6回2失点の好投で、今期10勝目をあげたことを評されてインタビューされた。ファンから「ハマの豆苗」と呼ばれる彼は、ひょうひょうとした外見とマウンド度胸で良い投球を続けてきた。古風な顔つきと淡々とした受け答えからは根っからの育ちの良さを感じさせる。

 もうひとりのヒーローは、5回に満塁ホームランを打ったロペス選手だと思っていた。そうでなければ、この日はじめて1軍の打席に立ち、初打席2塁打を放った新人の森選手を選ぶのも悪くない。ファンの期待の高さを物語る盛り上がりで、そこから試合の流れが楽勝ムードに傾いたからである。

 ところが実際にこの日ヒーローインタビューを受けたのはパットン投手だった。大貫の後を受けて2番手で登場したリリーバーだ。素晴らしいピッチャーだし、今年は何度も登場してチームのピンチを救っている。そんな貢献者を、なかなか正当に評価する機会がなかったということかもしれない。

 でも、僕はそのヒーローインタビューを別の興味を持って見ていた。今月に入ってからピンクのグローブを使うようになったパットン。どういう心境の変化なんだろうと思っていたが、その点をインタビュアーが聞いてくれた。すると、その答えは「ピンクリボン運動」に起因するものだったのだ。

 パットンがインタビューで答えた以上の情報はないので、その時に僕が感じた「チーム全体の意識の高さ」のようなものを記したい。先に挙げたように、この日ヒーローインタビューを受けるべき選手は他にもいたように思う。でも、社会貢献への意識という意味でもパットンは最高のヒーローだ。