眠れない夜と眠りたい体

 夜、眠る前に訪れる不安。実家者の僕が抱えている不安は、家族の健康についてだったりする。そして残りの人生についても考えることになる。寝転がっての思考で何ら答えは出ないし、死は絶対なので、そこは諦めるしかないのだが、そうなった時のことをふと考えてしまう。そんな夜が増えた。

 夜の暗さで何も見えないから、自分の内側を見るしかないのだ。僕は明るいところでも眠れるのだが、電気を点けっぱなしで眠ると、起きた時に自己嫌悪がやってくる。恋人のいない人間なので、せめて自分くらいは自分を好きでいたいと思う。そのためにも眠る前には電気を消すようにしている。

 以前は幽霊を本気で恐れていたので、なるべく夜は暗い思考に引きずり込まれる前に眠ろうと思っていた。でも、今は「幽霊はいない」ってことを知ってしまった。幽霊のことを信じている人にとっては【ネタバレ】なのかもしれないが、少なくとも僕の周辺には幽霊と関係する現象は起こらない。

 僕が中学生になった頃、部活動で疲れ果てているはずなのに妙に頭が冴えて眠れない夜に、初めて金縛りにあった。金縛りというのはそういうものだ。体は眠っているのに脳だけが覚醒している状態とでも言うのか。でも、初めての金縛り体験にビビった僕は、布団の上で大いに狼狽えるのだった。

 隣に両親が寝ているので、異変に気付き、すぐにやって来た。金縛りにあった旨を話し、大いにビビっていたと思う。ただ、完全に「霊現象」だと思っていたハズなのに、眠気には勝てずにそのあとはすぐに寝た。霊障だとしたら原因を突き止めたいところだが、そう言う好奇心はなかったようだ。

 長じて金縛りの仕組みを理解するのだが、とはいえ全身が引きつったような状態になるのは不快だ。眠る前の感じで「今日は金縛りになりそうだな」と思うと、横を向いて寝るようにする。若いころはそれで眠れたのだが、最近では真上を向いてないとスッと眠れない。そして、最近はいつも眠い。

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フライドポテトではない、タケノコである。寝る子は育つ、竹のように。