花鳥風月に魂ひかれない

 年齢を重ねてくると、若い頃とは興味の対象が変わってくると聞く。自分も半世紀近く生きてきたので、若い頃と今では何かしら変化があっても良いとは思う。でも、深く考えるまでもなく「変わってなさそうだな」と感じる。自分が自分を正しく評価できる自信はないが、変わってる実感はない。

 もちろん興味の対象が「広がる」ということはある。その対象は、よくよく考えると、元から好きだったものの派生だったりする。つまりは同じ根っこの枝葉なので、自分の資質が変わったワケではなく、興味の対象そのものが変容しているのだ。かつての興味の対象だって、時と共に変わるのだ。

 たいそうなことを述べている風の回りくどい言い方をしているが、僕が言っている興味の対象は「ガンダム」だ。この、無数にフリークがいる対象を「好き」と言うのは抵抗がある。フリークたちはマウントを取りがちだ。カルトなクイズによって「これを知らなきゃ好きと言えない」と怒られる。

 僕はマニアックになれない。創作物に対して熱心に没頭することがない。できないのだ。必ず覚めてしまう。でも、冷めても再燃する。ちょっと気になるエピソードがあると、確認のために映像をチェックする。チェックに留まることはなく、いちど動画を再生したら、そのシリーズは全部見直す。

 そうやって見るたびにマニア深度を深めていけば良いのだが、見事に忘れる。なぜ忘れるのかを考えるまでもなく、そういう見直し作業をしている時は絶対に片手間だ。スマホでメールチェックしたり、下手したらゲームなどをしながら聞き流している。どこかで「一回観てるから」とナメている。

 何年かに一度、ガンダムのことが気になる。僕の中ではアムロが生きたままになっているので、ファーストから逆シャアまでを辿って納得したいのだ。僕の中のアムロを成仏させたいのだ。こんなことを言っているアラフィフ、しかもマニアでもない一般の中年が、花鳥風月を愛でる日は来るのか?

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赤い実を見ても、この赤はシャアじゃなくてライラのガルバルディだとか。