リスペクト・スペシャリスト

 むかしから、ひとつのことに熱中することができない。これまでに集中して取り組んだのはラグビーくらいだが、それも突き詰めたという感じではない。ただ、なんとなく肌に合っていたので、長く続けられたというだけのことだ。はじめた当初の苦手意識も、長く続いた秘訣だったかもしれない。

 ある事柄に関して、専門知識を持った詳しい人がいる。その人が、その対象を好きで調べた結果だ。食に詳しい人、音楽に詳しい人、野球に詳しい人など、いろんなスペシャリストがいる。そういう人を探すのが好きだ。出会った人の奥底にある「専門分野」は、その人の最大の魅力だと思うのだ。

 でも、人によっては、その長所をひた隠したりする。詳しすぎて気持ち悪がられる、そんな風潮が僕の思春期にはあったので、自分のマニアサイドを見せたくない気持ちは理解できる。だから、僕はそんなマニアを不安にさせないためにも、自分が敵じゃないことをアピールしなきゃいけないのだ。

 自分がマニア体質になれないながらも、なけなしの知識でその対象への興味をプレゼンすることはできる。彼らを師と仰ぐからには、入門編のテキストくらいは事前に頭に入れておくのだ。そうすれば、話が細部に入り込んでも質問を入れることができる。その質問が的を射ていれば、先生も乗る。

 僕はむかしから、プロ野球に関しては熱くなれないタイプだった。子供の頃も、巨人戦を観ている父親の圧倒的なチャンネル権を奪うことだけを考えていた。つまり、プロ野球自体が障害だったのだ。だから、野球の推しはジャイアンツ以外ならどこでも良いので、大洋ホエールズを応援していた。

 応援していたと言うが、別に応援はしていない。ただ、どこ推しなのか問われるたびに「大洋」と言い続けただけだ。そのうち「横浜ベイスターズ」と改称しても、その推しは継続した。こう答えると、ほとんどの人が興味を持たないからだ。それでも40年近く推しているので、ファンではある。

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昨年は酒場の仲間のツテで、浜スタで2試合観戦することができた。