カテゴライズ・ブルース

 会話の流れで「どっち派か?」を問われる時がある。そば派うどん派やネコ派イヌ派は、自分の体験としても聞かれたことがある。そのふたつだけで選ぶとしたらうどん派でイヌ派だ。でも、麺類ならラーメンに決まっているし、動物の好みなら、どちらかと言えば爬虫類の方が興味があると思う。

 ただ、その話題にスポットを当てるテクとしては、二極分化させて論争する方が楽しい。普通に話していると、会話は尻すぼみになっていく。意見を交わす行為を楽しむには、明確な立ち位置を決めなければいけない。その簡易版が、ネコ派イヌ派やそば派うどん派という題材なのではなかろうか。

 だから、そこで目くじら立てて「俺は素麺派だ」と宣言することもアリなのだ。話の端緒として提示しているだけなので、そこを広げるような別の視点はむしろ大事だ。それが入ることで「実は俺、冷麺派なんだ」という新機軸も出てくるだろう。結局、各人の根っこを掘ることが目的なのだから。

 僕は、どうしても二分化のネタ振りに嫌悪感を抱いてしまう。縛られることへの反抗心だ。この思春期くさい感覚は、まさに思春期に読んでいた雑誌から受けた影響だ。あるヘビーメタル専門誌では「カテゴライズなんてくだらない」という文言が飛び交っていた。それは音楽性に関する話だろう。

 インタビュアーに「あなたたちの音楽は◯◯(ジャンル名)などと言われますが」と聞かれると、大体のミュージシャンが上のように答える。ジャンルに括られることで、誰かの影響下に置かれるような不自由さを嫌っていたのだろう。その答え方は大喜利的には不正解なのだが、印象には残った。

 あと、僕は熱心なマニアに影響されたい願望がある。僕自身にマニア心がないので、そういう知識の宝庫からレクチャーされたいのだ。ジャンルを極めた人への憧れだ。僕が、ジャンル分けを拒絶する体質になってしまったので、その道のプロに委ねて案内してほしいという都合のいい考え方だが。

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こういうトカゲが家にいたら楽しいなと思う。だから爬虫類派だ。