名勝負、かぞえ唄

 スポーツや格闘技の世界で、誰もが見たいけれど実現不可能な「まぼろしの対戦」がある。すでに他界していたり引退しているスター選手と、現役の選手との対戦を想像するのは楽しい。けれど、それは妄想だ。そのような想像ではなく、団体間の調整や政治問題で対戦できない場合がある。

 例えば、またラグビーを例に出すが、ユニオンラグビー(通常の15人制ラグビー)のワールドカップが始まった当初は、アマチュア主義というルールを採用していた。プロ選手はユニオンのワールドカップに出場できない。日本がまだ昭和の頃から、平成になって数年はこのルールだった。

 また、南アフリカという強豪国に関しては、当時の「アパルトヘイト」制度下で偏った選考がなされていたので、出場が許されていなかった。この辺の話は、その後のマンデラ大統領の功績が映画などになっているので観てみるといいかもしれない。僕も未見なので詳しくは知らないが……。

 その南アフリカと、あの最強の黒い軍団に完勝したイングランドが今週末に決勝戦を行うことになった。僕が仕事で寒さに震えている頃、横浜では世界のラグビー地図が塗り替えられていた。オールブラックスが、イングランドの圧になす術なく倒されるという時代の転換点を見逃したのだ。

 見逃した試合を昨夜、酒場で流れていた再放送で観ることができた。だから、なすすべなく敗れたと評したのは、その時の感想だ。結果を知って観たから、先入観ありの観戦となる。その再放送の前に観たウェールズ南アフリカの方が、手に汗にぎる接戦だったことも影響しているだろう。

 このラグビー熱が去った後、せっかく好きになったファンから「次に観るラグビーの試合には何が良いか?」と聞かれる。少し間が空いてしまうけれど、高校ラグビーから観はじめることを勧めている。代表戦が盛り上がったシーズンは、全世代で名勝負が繰り広げられる印象があるからだ。

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ラグビーボールのような形状の揚げ物、僕の大好きなカキフライの季節だ。