地球を踏んだり蹴ったり

 毎日の日課というわけじゃないが、仕事が激減したせいで外出する用事がないので、健康のためになるべく朝ジョギングしている。日焼けが目的ではないけれど、足が不健康に白いので、そこだけは焼きたい。足が日焼けしていると、短パンを履いた時にスラッとして見える視覚効果も狙っている。

 走りながら考えているのは、だいたい部活学生だった頃のことだ。あの頃の体力が今戻れば「何でもできるのに」と思ってしまう。でも、その走れた学生時代でさえ、できないことは無数にあった。それが、なぜ今ならできるのだ? そんな自問自答を重ねているうちに、思考能力が疲労に負ける。

 元気なうちは部活学生の頃の練習を思い出して、気持ちよく走っていることが多いのだが、脳内鼻歌を歌っていることもある。僕は楽器を一切弾けないのだが、勝手に「ひとりリサイタル」よろしくアンプラグド公演を開催しているのだ。そのせいで、腕振りと見せかけたエアギターをしてしまう。

 この脳内リサイタルが気持ちよく回っている間は、割と疲れ知らずで走ることができる。もちろん、ゆっくりランだ。疲れてくると、選曲がパッと浮かばなくなる。弾き語りが楽しい曲を、弾き語りをしない僕が思いつくはずがないのだ。だから、いつも3曲くらいでリサイタルが終わってしまう。

 ジョギング中に音楽を聴くのが最高なことは知っている。でも、イヤフォンを付けて走るのが苦手なので、記憶の中の音楽を脳内再生することにしている。それに飽きたので、いつの間にか自分が演奏者となって、アコースティックギターを弾き語る妄想を膨らませながら走るようになったわけだ。

 エアギター用にアコースティックギターを1本買いたい気持ちはある。でも、あれを家で弾くと音が煩い。エア快楽のために騒音を撒き散らすヤバい中年にはなりたくない。だから、ジョギング中だけは脳内でアコギをかきむしっている。走りながら、つい顔で弾いてしまうのも疲労で誤魔化せる。

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走っている時に食べ物のことは考えないが、いま食べたいのはこのタンメン。