記憶という名のガソリンで

 何度となく嫌なことに遭っても元気で生きていられるのは、時間が経つと忘れちゃうからだと思う。ネガティブな想念につきまとわれて生きるのは、ツラいし疲れそうだ。だから、そんな嫌な思い出は忘れてしまって構わないと思う。ただ、表面上は忘れたつもりでも、優秀な脳は忘れてはいない。

 どこで誰に聞いたか、おそらくはTVの医療相談的な番組だと思うが、脳は生まれてから起こった出来事を全部記憶しているそうである。防犯カメラに例えるなら、体全体が電源となって、目から入った視覚情報を脳というストレージに保存し続けているという感じか。だから、情報は残っている。

 脳にアクセスできる装置が開発されたら、警察の捜査も楽になると思われる。取り調べに医師と弁護士を帯同させた上で、脳にアクセスして画像診断すれば映っているわけだ。でも、視力の悪い人間の画はボケているかもしれない。補正は簡単にできそうだが、画像をイジると証拠能力が落ちそう。

 このように、僕の話は冒頭の段から下段に行くにつれて逸脱する。僕自身が話の終着点を決めていないので、途中から手に負えなくなる。脳にアクセスするってなんの話だ? 自分の意思に反して、脳が言葉の流れに抗えずに話を展開してしまう。もはや、僕の脳は僕自身ですらないように感じる。

 たぶん、昨日の在宅ワークで、発注元から夜遅くまで細かい変更が繰り返されてイライラした思いを話そうとしたんだと思う。そういう嫌なことでも、知らないうちに忘れて、また同じ仕事をした時に同じ状態に陥ることって「よくあるよね」という結論だ。それすら、途中で忘れていたのである。

 話題の逸脱は楽しいが、自分で自分を騙すような行為なので、ここで何を記したのかを明確に覚えきれなくなっている。前に話したことを「繰り返してるなぁ」と思ったら初出しだったり、初出しだと思ったら数日前に記していたり、とかく記憶なんて曖昧なものだ。脳だけが、事実を知っている。

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こういう、なんで撮ったのか分からない写真が脳内にも無数にあるわけだ。