暗黒街からの生還

 昨日は1日、冷房を効かせた部屋で、友達から借りた本を読んでいた。読書は電車の中が最高なのだが、借りた本がハードカバーの単行本で分厚いので家読みにした。家飲みのような感覚で家読みと記してみたが、別に特別なことじゃない。ただ、家で本を読んだというだけのこと、それが家読み。

 その本は大沢在昌新宿鮫シリーズ最新作となる「暗約領域」だ。前作でストーリー的に大きな変化があったので、新しい動きのある作品となっている。刑事モノの小説で「遊軍」という設定はよくあるが、その設定を違和感なく成立させたところが新宿鮫の魅力だ。その魅力に関わる変化がある。

 まあ、内容に関しては「ネタバレ」になってしまうので、この辺に留めておく。とにかく、刑事モノに登場するのは、捜査する側と追われる側だ。でも、時には捜査する側である鮫島の方が追われたりもする。だから、読書のスリルが持続する。シリーズを通して、鮫島の捜査には命の危険がある。

 せっかくのスリリングな読書体験だったが、集中してイッキ読みしたので内容はすでにうろ覚えだ。それでも、読み終わった時に肩の力が抜けるような感覚があった。それだけ入り込んでいたのだ。やっと追われる生活から日常に戻った、みたいな。そんな疲労感をクリアにするために飲みに出た。

 そういえば、新宿鮫シリーズには必ず出てくるバーがあるのだが、前作あたりから登場しなくなった。その店は、鮫島が恋人と会う場所でもあるので、前作で別れているので出ないのは仕方ない。こういう創作の中の酒場は魅力的に感じる。自分もそんな場所が欲しいと思ったから地元で見つけた。

 そんなリラックス居酒屋で緊張をほぐし、暑さで飲みも進んだので、結構酔ってしまった。帰ってきて眠ると、読んだばかりの小説の世界が蘇ってきた。当然ながら、僕が主人公の小説の世界だ。明け方、僕のベッドにはセクシーな相棒が添い寝していた。こんな場面はないのだが、アレンジした。

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僕の好きな朽ちた建物ではないが、高級感のある建築物はセクシーだ。