ノーヒント、記憶の遺失物

 ふとした瞬間に思い出した事柄が、思い出した部分から先に進まないことがある。ある断片を思い出したのだが、それが、その記憶のどの部分なのかも分からない。僕が断片的に記憶することが、その対象の主たる部分じゃないことは多々ある。ひねくれ者で、常に物事を斜めから見ているからだ。

 先ほどから、あるゲームの場面が思い浮かんでいるのだが、それが何のゲームなのかが思い出せない。スマホのアプリなのか、買ってきたゲームなのかも不明だ。たぶん買ってきたゲームではないだろう。僕がゲームを買ったのは10年近く前で、それは「ガンダム無双」シリーズと記憶している。

 買ったゲームでないということは、おそらくスマホの無料アプリだ。こうして記している間に、ほんの少しだけ記憶が蘇ってきた。そのゲーム自体は無料だけれど、それ以上進むには課金しなくちゃいけなくてやめたのだろう。使わないアプリは消去するので、スマホ内にもヒントは残っていない。

 実際のところはわからないが、この程度の解釈ができれば思い出せないことにも納得する。納得するように誘導したと言っても過言ではないが。どんなことでも自分の都合に合わせられれば、その考え方を採用してロスなく済ませてしまう。時間が勿体無いし、納得するのは自分だけの問題だから。

 ステイホームを遵守している者ではないが、最近は比較的家にいることが多いので記憶をほじくり返してしまう。記憶を掘ると不愉快なことも出てきてしまうので、そいつを再度埋葬するのに手間取ったりする。他人からの悪意も、他人への悪意も同様に厄介だ。一度灯った負の感情は消えにくい。

 そして、思い出せないことの影には不愉快なものが干渉している場合もあるのだ。その不愉快を遠ざけるために、関連ワードになる部分も同時に消去しているのだ。でも、関連部分自体が悪いわけじゃないので、その記憶だけが復活してくる。それに引っ張られて、元の不愉快もぶり返してしまう。

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記憶の貯蔵庫がこんなタンク式なら、底に沈んだ記憶は思い出せないかも。