雨が降ったらさようなら

 休みの日の雨は憂鬱だけれど、子供の頃を思い返すと、憂鬱なことばかりではなかった。大雨の場合は少年野球の試合が中止になる。試合ができないなら練習もやらない。たまに公民館で室内練習などをやったりするが、むしろ、そんな非日常は楽しかったりする。だから、雨は嫌いじゃなかった。

 中学・高校も日曜日の雨には期するものがあった。ちなみに土曜日は休みじゃなかった。週休2日以前のオールドスクールの話だ。学校の部活だと、雨が降っても室内練習ができるので中止にはあまりならない。野外スポーツだったので室内練習は非日常だが、少年野球時代のような楽しさはない。

 体育館を使う時などは、他の部活(当然だが女子)を意識した。練習で良いところを見せるのは不可能だが、存在感をアピールすることはできると思っていた。いつもより張り切ったり、わざと転んでウケを狙ったり、寒い努力を重ねていた。もちろん、そんな的外れな努力が報われることはない。

 高校・大学はラグビー部なのだが、ラグビーの試合は雨が降っても中止にはならない。だから練習も雨の中でやるのだが、練習後の着替えが面倒臭いのだ。雨の中での練習は集中力が続かないので、パッとやってパッと上がることが多い。そんな短期集中型の練習でも、しっかり全身泥にまみれる。

 大学時代だけは、この雨の日練が特殊パターンだった。コーチが雷が苦手らしく、すぐに終わりになる。もちろん全体練習が終わるだけのことなので、各自の筋トレやら外周ランニングなどは別メニューだ。でも、晴れていると「いつ終わるか分からない」練習だったので、雨が降るとホッとした。

 今では、休みの日に雨が降っていても、何もスペシャルなことはない。ただ外に出れなくてクサクサするだけだ。今週、関東地方も梅雨入りしたらしい。このしみったれた季節が、むかしから嫌いじゃない。夏は好きだが、実際の夏は暑いだけだ。だから、梅雨に感じる夏への期待感が好きなのだ。

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等々力渓谷の廃墟然とした建物。ジメジメした場所も嫌いじゃない。