タンブルウィードの世界
対立するふたつの存在があったとして、その片方が好きだと言ったら、そうじゃない方を嫌いにならなきゃいけないというルールはない。でも、どちらかを好きだと言った時点で、その話の受け手は「じゃあ逆の方は嫌いなんだろう」と判断してしまうかもしれない。僕にも、そういった面はある。
僕は比較的ブリティシュロックの系譜の音楽が好きなんだと思う。厳密な系譜はわからないけれど、いわゆるビートルズ以降の音楽で、英国の「湿り気を帯びた」などと形容されるタイプの音楽が好きだ。メタルを好きになった時も、メロディアスで荘厳な感じの英国産のものが好みだったと思う。
でも、それの対と見なされるアメリカンロックを嫌いなわけがない。先の形容を米国に当てはめると「乾いたギターサウンド」というのが僕のイメージだ。僕は、この乾いたギターの音が大好きだ。ただ、イチバン最初に乾いたギターの音が良いなと思ったのは浜田省吾の「マネー」のイントロだ。
この曲自体が「アメリカ的な成功」への憧憬を描いていると思うので、ここで乾いたギター音が響くのは合っている。当時(中学生だったと思うが)は音楽的な引き出しが少ないので、聴いた音源が全てだ。僕は最初から「アメリカ的な音」として乾いたギターサウンドに触れたわけではないのだ。
あのイントロのギターフレーズみたいな感じの音を他人に説明する言葉が分からないので、仕方なく友達にその音源を聴かせて「こんな音のギターが聴きたい」とリクエストしたら、その友達がブライアン・アダムスを貸してくれた。カナダのロックスターだ。そして、その音は確かに乾いていた。
梅雨に入るとジメジメして気が滅入る。暑いし。この時期には乾いたギターの爽快なロックを聴きたくなる。でも、暑苦しいので、たまにはブリティッシュロックで涼む。いや、最近はシティポップで全てカバーできるから洋楽はあまり聴かないんだよな。音楽で世界旅行にでも出かけるとするか。