中年、グラウンドに還る

 むかしのラグビー仲間に誘われて、10年ぶりにラグビーの練習に参加させてもらった。この時期なので、接近する練習はせずにパス回しなどのラン主体の練習を2時間ほど行った。そのうちの30分くらいまで参加したところで肉離れの予兆があり、離脱した。想像したよりも長く保ったと思う。

 全然走れないので物足りなさはあった。でも、天気も良かったし、外で汗を流す爽快感は味わえた。途中からはキックや球出しに専念し、練習の中にいる気分だけは最後まで堪能できた。たまに「足を引きずってでも一緒に練習したいな」と駈られることはあったが、今後のことを考えて我慢した。

 僕は学生時代、怪我だけはしないことが取り柄だった。上手くも強くもなかったけど、何試合しても怪我はしないのだ。身を削ったプレーをしてない可能性も否定できないが、とにかく休むことなく練習と試合の日々を駆け抜けてきた。だから、練習を見学しているだけだと身の置き場がないのだ。

 10年前にラグビーをやめたのは、結局怪我のせいだ。一度怪我すると連鎖的に他の部位も傷んでくる。試合に出てもすぐに離脱しなければいけない。全然楽しめない。だからと言って外から指示したり、補助したりするスタッフ的な役割をするには元気すぎた。どうしても中に入りたくなるのだ。

 それ以来、久しぶりのラグビーとの触れ合いだ。ラグビーをする人と話すのも久しぶりのような気がする。嬉しくて何人かと話したが、みんな気持ちのいい人間だった。僕がキックを蹴っていると「昭和のスクリューですね」と若い人に言われた。そうか、この蹴り方は今のトレンドじゃないんだ。

 あっという間に練習は終わったが、それは途中離脱したからだ。それでも今朝はしっかり筋肉痛だし、肉離れした箇所は痛い。体に馴染みのある痛みだ。変態ではないのだが、こういう肉体の痛みは「進化するための痛み」という気がして気持ちがいい。ここはひとつ、体を作り直してみようかな。

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河川敷のグラウンドの欠点は遠いこと。クルマだと帰りに飲めないのだ。