横隔膜ハッスル大会

 僕は、一度しゃっくりが出ると数日間は止まらない。別に数えたりはしていないので「最長何日間連続」などという記録は不明である。でも、とにかく長引くし、終わったと思ったらぶり返すことも多い。ひとつひとつのしゃっくりが全身けいれんなので、疲れ果ててしまう。迷惑な体質だと思う。

 よく行く酒場で、しゃっくり発作の止め方を研究したものだ。それぞれの必殺の止め方を試すのだ。僕としても「確実に止まるやり方」があるのなら是非会得したい。その中で一番効きそうだと思った方法は、前傾して上唇側から水を飲むという、言葉での説明では絶望的に伝わらない方法だった。

 その方法はかなりの難易度で、絶対に水をこぼしてしまうし、姿勢的にもかなりきついのだ。でも、横隔膜を押さえ込むような姿勢ではあるので、その姿勢でキープしていれば止まりそうな気はする。それを教えてくれた人からは、これなら「イッパツだから」とサムズアップしてススメてくれた。

 結論から言えば、その方法では止まらなかった。その時もかなり長期にわたってしゃっくり発作に悩んでいたので、その方法を試して数分後にしゃっくりがグワッと出た時にはガクンと落ち込んだ。また、この地獄のけいれんが続くのかと思うとウンザリする。それでも、永遠に続くわけではない。

 仕事が忙しければ、しゃっくりのことを忘れて、そのまま出なくなっている。意識しなければぶり返さない。本当は仕事なんて真剣にしたくないのだけれど、仕事しか真剣にできないというのはジレンマだ。しかもそれが、しゃっくりを止める唯一の、そして、かなり確実性の高い方法なのである。

 悲しいことに今、かなり仕事がヒマなこの時期にしゃっくりが大ハッスルしている。常にみぞおちのあたりがヒクヒクしているが、気合いで止めている。気合いで止まるのかは知らないが、自分的にはさっきから自力でグッと踏ん張っているつもりだ。でも、意識しているので、力尽きたら負ける。

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空き地で見つけた謎の道具。これはもしや「しゃっくりを止めるマシン」か?