夜の散歩をしてみた

 酒場の賢人から「路地裏のキムチ屋が美味い」という情報が入ったので、早速その場から向かってみた。酒場エリアから徒歩5分程度だが、彼らからは「わかりにくい場所」と注意されていた。でも、ザックリと聞いた店舗の地図が頭で描けたので、これなら地図アプリ不要でいけると踏んだのだ。

 そのキムチ屋が面白いと思ったのは、まずはその営業形態だ。アパートの横に冷蔵庫が置いてあり、そこから袋詰めされたキムチを必要な分だけ取って、横の郵便受けにお金を入れると言うのだ。人間の性善説に基づいた、日本独自の無人野菜販売所のようなシステムを見てみたくなったのである。

 想像していた場所に行くと、そこには人がいた。無人でもなんでもなく、明らかにキムチを作っているお姉さんがいた。ちなみに、最近の僕は年上と見受けられる女性のことはすべて「お姉さん」と呼ぶルールで生きている。最近になってわかりはじめたマイレギュレーションのひとつなのである。

 無人だと思い込んでいたので、少しうろたえた。でも、冷蔵庫から勝手に取り出すシステムには不安もあったので、店の人がいてくれる方がありがたい。まあ、単なるアパートの一角なので店舗ではないのだが、界隈の人は「キムチ屋」と読んでいるので、ここで店と呼んでも差し支えないだろう。

 お姉さんは下を向いて作業していたので、ビックリさせないよう優しく声をかけた(つもりだ)。でも、暗闇からニョキッと巨人が現れたので軽いビクつきは見受けられた。来意を告げ、白菜キムチとカクテキをひと袋ずつ購入した。明日はもっと大きなキムチを漬けると言う。日替わりのようだ。

 僕の来訪に関しては「どうしてここを知ったのか?」と軽く不審そうだった。まあ、不審という意味では、そのキムチ屋の方がよっぽど不審なのだが。あとは、帰り際に身長を聞かれた。いつも「187センチ」と答えるのだが、本当は「188センチ」なのだ。どうでもいい嘘をつき続けている。

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昨夜は歩き回ったので筋肉痛が治らず、今日もジョギングはサボった。