先輩の言うことは絶対

 小学生の頃は、先輩に敬語を使うとか礼儀正しくするとか、そういう文化も気遣いもなかった。たまに先輩ヅラしてくるヤツもいたと思うけれど、それはガキ大将のようなキャラの人間で、威張っているので嫌われていた。年歳が違っていても仲が良ければ友達のような感覚で過ごしていたと思う。

 そんな年上の友達が、年上だから当然だけれど僕より先に中学生になる。中学生になっても友達気分は変わらないが、周りには中学から先輩になった連中もいるので、その人たちと合わせなきゃいけない。気遣いというヤツだ。ただ、その段階では、体育会系の上下関係のような厳しさはなかった。

 これが、高校に入ると途端に先輩が威張りはじめる。最初に入った陸上部では、合宿中や試合前に先輩のマッサージをしなきゃいけなかった。たぶん同級生全員がマッサージの指導を先輩から受けたと思う。そういうもんだと教えられた。納得できないけれど、理不尽なことを受け入れてしまった。

 まあ、みんなやってるから仕方ないかと諦めておとなしく揉んでいた。確か担当の先輩がいて、相撲の付き人的に各自が受け持たされるんだと思う。でも、思い返してみると、自分以外の同級生が揉んでいた姿が記憶にない。もしかしたら、そんな制度はなくて僕だけが揉まされていたのだろうか。

 ちなみに、僕は1年生の途中で陸上部を辞めるので、僕が後輩に揉まれることはなかった。そもそも体が凝らない体質なので、揉まれるとくすぐったいだけで効果がない。だから、揉みの加減などまるで適当だったのだが、僕が揉んだヤツらは気持ち良さそうにしていた。まったく共感できないが。

 昨日、長年通っている得意先に行くと、その社長から「肩揉んで」と言われた。僕は即座に高校時代を思い出して、適当に「僕、揉むの下手なんすよ」と誤魔化そうとした。でも、本当にツラそうだったので軽く揉んでみた。結構強めに揉んだので、今ごろ揉み返しが来てるのではと心配ではある。

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先輩ヅラするヤツは嫌いだが、先輩として背中で語る人とラッシーは好き。