ザ・ネンザ

 中学生の頃に、陸上部の試合前にヒネッた足首の痛みが、30年以上経ったいまでも残っている。いわゆる捻挫というヤツだが、これが治らないまま今に至る。普段は痛まないし、日常生活で気になることはない。ただ、急に走ると確実にグキッとヒネる。準備運動しないで走り出すと危険なのだ。

 足首の構造上、内側にヒネることになる。この際、外側の筋が伸びるので、痛みは外側に生じる。この、外側の筋が伸びちゃってる状態が長年続いているので、運動するときは自然に足首が内転している。フラットな状態だと痛みが出るのだ。これが、体が温まってくると、痛みが緩和されてくる。

 学生時代の部活でも、ウォーミングアップの時は足をかばって走っていた。それが慣れてきて、やっと普通に走れるようになるのだ。そのうちテーピングを覚えて、足首を固定しちゃえばヒネらないと分かった。いや、実際はそれでもヒネるのだが、アップの時間が短い場合の誤魔化しにはなった。

 ここ数年ではじめた草野球では、やけに肉離れが多くなった。足首だけをテーピングで固めて、アップもロクにしないで試合するから無理が生じるのだろうか。30前後で膝の靭帯を断裂して以来、ガラスの下半身なのですぐにケガする。だから、最近は毎朝のスクワットでやった気になっている。

 これら、一連のケガの連鎖の始まりは、中学生時代の足首の捻挫だ。左足首だ。ハードルの練習でヒネッたんだと思う。右足が踏み込み足だから、着地の時にグネッたのだろう。あの時の処置は、他の学校の先生にテーピングでガチガチに固められた。それでアップしていたら、痛みが引いたのだ。

 そのまま試合に出て、まあ当たり障りのないタイムで終わった。ハードルの選手は2人しかいないので、いきなり決勝だ。そんな片隅の競技でケガしても誰も心配しないし、むしろ僕の方も恥ずかしかったりする。だから、捻挫で騒ぐこともなく、その日以降も治療することなく過ごしてきたのだ。

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この名作ノンフィクション短編集に僕のエピソードが載ることはない。