考えるな、感じるな

 尿酸値が気になるお年頃の僕だけど、年始は飲まずにはいられない。この時期に固め飲みするために生きているようなものだ。母指球に多少の疼きを感じつつ、薬品を投与しているから大丈夫だと自分に言い聞かせ、今だけは怠惰に流されたいと思う。強い意志を持って、正月は飲んだくれるのだ。

 焼け石に水だが、健康に配慮して酒場まで歩いて行くことにした。バスで10分の距離を、ゆっくり歩いて30分ちょっと。かつては日本一汚いと言われていた川の横を通り、トボトボと寒空の下、背中を丸めて歩いて行く。この道のりは好きだ。寒さで身が締まる感じも、罪悪感を消してくれる。

 昨日から開けているバーは、昼からオープンしている。まずはそちらに顔を出すと、知った顔が並んでいた。お客たちと女性の店主、バイト女子に年始の挨拶をしてカウンターに着席。ビールを注文。お気に入りのブルックリンラガーから始める。尿酸値の最大の敵、生ビールを大量注入するのだ。

 前日に、もうひとつの行きつけ居酒屋に行った際に、そこの店主(コチラも女性)の姪っ子にほんの気持ちのお年玉を渡した。本人はいなかったが、お母さんがいたので代わりに渡した。こういう風習は良いなと思い、若い子にはお年玉を渡そうと思った。だから、バイト女子にもお年玉を渡した。

 その居酒屋で、次の日に僕の同級生がスモール新年会をやるという話を聞いていた。その同級生は、割と強めな女子3人組だ。居合わせると餌食になりそうなので行くか迷っていたのだが、最初の店を出ると自動的に足が向かってしまうという。そして、ジャストなタイミングで鉢合わせるという。

 顔を合わせるなり、逆に「タイミング合わせてきたでしょ」と攻められた。こうなりゃ腹をくくって、同席してみた。別に呼ばれてもいないのに、同じ席で飲んで話した。高校が同じなので、共通の話題は多い。しかも、非モテ学生だった僕は女子関係の話題に乏しい。聞いてて意外と楽しかった。

f:id:SUZICOM:20200104134040j:plain

我が家から駅まで歩いて行く道のりにある、当地の名物を売る店。